【日本語チューター】北野天満宮の梅と老松のお菓子
今年の北野天満宮の梅花祭「野点大茶湯」は中止になりました。また、天神市も中止です。梅花祭の神事は行われます。天満宮に祀られている菅原道真が亡くなった2月25日に梅花祭は行われてきた神事です。梅の花をこよなく愛した道真を偲び祭典が行われます。上七軒の芸妓・舞妓さんたちの接待に心が和みます。京の街に春を告げる雅な行事です。
京都の人は親しみを込めて、天満宮を天神さんと呼びます。天神さんは学問の神様でもあります。京都で梅の名所と言えば、まっさきに「天神さんの梅苑」と言う人が多いくらい人気があります。梅苑と境内には、およそ500種1500本もの梅の木があります。最近の温暖化や暖かすぎた今年の冬のせいで、今年は一月下旬から三月初旬が見ごろです。白梅、紅梅、一重、八重、枝垂れと様々な梅が次から次へと開花します。私は今月の22日に梅の花見に天神さんに行ってきました。現在は花見というと桜を指しますが、昔は梅を見物することが花見でした。梅苑内には、細い道が延び茶屋でお菓子とお茶をいただけます。茶屋の床几に座りながら眺める梅は壮大です。風と共にかすかな香りがただよってきます。初春のうららかな至福のひと時を味わえました。
帰り道はいつものコースです。上七軒を通って帰ります。もう一つの楽しみがあります。それは、和菓子屋「老松」でお菓子を買うこととお店の雰囲気を味わうことです。梅苑の茶屋で食べたのも、老松のお菓子です。老松は100年以上前から上七軒の一角に店を構えています。ここ本店は北野店ともいい、格子戸とまっ白な暖簾が美しい町家建築です。これぞ、ザ・京都というたたずまいです。店内には、目にも鮮やかなお菓子が並んでいます。お茶会で使われる上生菓子から現代風のチョコレートまでバラエティーに富んでいます。去年の七月にブログ『和菓子職人をめざして』を書いてくれたフランス出身のドリアンさんは、今年の一月下旬から二週間だけここで実習しました。ここの四代目当主は茶人でもあり、京都御所の近くにある公益財団法人で、若い和菓子職人を育成し、一般の人々には和菓子やお茶を提供する活動をしています。
写真は、左上が「椿餅」生餅菓子、右上は「北野の梅」上生菓子。左下が梅苑の赤椿。右下はピンク色の梅。一条戻橋の早咲き河津桜は、もう五分咲きです。今年の春は早く来ます。早く平和も来ますように。
Kokoka日本語チューターブログチーム
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