【日本語チューター】ムーミンの哲学
みなさんは『ムーミン』を知っていますか。ムーミンはフィンランドの作家、トーベヤンソンが書いた作品です。初めは大人向けの小説として書かれました。その後、児童文学、漫画、アニメの脚本として書かれました。みなさんは、おそらくアニメのムーミンを知っていますね。トーベヤンソンはヘルシンキで生まれたスウェーデン系フィンランド人です。それで、原文はスウェーデン語で書かれたものとフィンランド語で書かれたものがあります。彼女は作家でもあり画家でもあります。1954年からイギリスの新聞「イブニング・ニュース」にムーミントロールの漫画が週に6回掲載されました。それ以後、そのことが世界中で人気になるきっかけになりました。
私は1971年の夏休みに、一か月くらい東京にいました。東京北区の高校の先輩の下宿に居候させてもらいました。その当時、大学は学生運動の終わりかけでした。ベトナム戦争が終わる前年です。晩御飯は、ほとんど「尾久第五食堂」という労働者が行く食堂で食べました。そこは、私が初めて『ムーミン』に出会えた場所です。19才の私は今よりだいぶ感性が鋭かったようです。それ以来、『ムーミン』のキャラクターのスナフキンに私の人生は影響されてきました。
スナフキンの自由きままな生き方は、読者やアニメの視聴者にも影響を与えたと思います。日々の生活に疲れた一部の大人たちの郷愁や憧れを誘いました。「スナフキンの生き方」は理想の生活・スローライフの代名詞としても使われました。そのため、スナフキンはムーミンのキャラクター投票で一位をとるほどの人気になりました。
スナフキンは言っています。「なんでも自分のものにして、持って帰ろうとするとむずかしくなっちゃうんだよ。ぼくは見るだけにしてるんだ。そして立ち去るときには、自分の頭の中へしまっておく。ぼくはそれで、かばんを持ち歩くよりも、ずっとたのしいね」このことは、フランスの作家、サン=テグジュペリが『星の王子さま』で言っている「かんじんなことは、目に見えない」と通じていないでしょうか。そうです。真実や真理は心で感じとって考えないと分からないと言っているのですね。ムーミントロールは親友のスナフキンから本当の生き方を学んでいきます。スナフキンは迷信や占いに惑わされることなく、科学的に考えます。そのうえ、心も大切にします。
実際に本を読んだりアニメを観たりして、スナフキンの哲学に触れてください。みなさんの生き方が今まで以上にすばらしい人生になると思います。今回、本は講談社版『ムーミン谷の彗星』青い鳥文庫とムーミン全集を読みました。偕成社版やベネッセ版もあります。また、アニメはユーチューブでフジテレビ版、NHK・BS版を観ました。ユーチューブには、イギリスの英語版もあります。なお、このブログと同じ題名の『ムーミンの哲学』瀬戸一夫著、勁草書房刊があります。この本は、原作『ムーミン』の解説を哲学的に考えている哲学の入門書です。大学の講義のテキストにも使われています。
それでは、みなさんの生活の中にある哲学の扉を開けてください。
Kokoka日本語チューターブログチーム
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