【日本語チューター】絵本で学ぼう
冷たい冬の空気を感じると、ふと心に思い出す絵本はありませんか。今回は、絵本『手袋を買いに』で何が学べるか考えてみました。
作者・新美南吉(1913年7月30日~1943年3月22日)は、29才の若さで亡くなりました。そのため、作品数が少ないです。生まれた家は、現在の愛知県半田市です。半田市は中部国際空港(セントレア)の近くにあります。また、黒井健は1947年生まれの絵本作家・イラストレーターです。健は情感豊かな絵で、最初は童話だった『手袋を買いに』を絵本にしました。絵本の良いところは、文章を読みながら絵で景色を見ると、登場人物の気持ちがもっと分かることです。
「冷たい冬が北方から、狐の親子の棲んでいる森へもやって来ました。」(本文のまま)。これは、この本の書き出しです。日本語学習者のみなさんは、この文から何を学べますか。まず、漢字、文法、語彙が学べますね。次に自分で読んでみると、読解ができます。誰かに読んでもらえば、聴解ができます。語彙についてだけ書いてみます。「冷たい冬」は、い形容詞「冷たい」が「冬」を修飾しています。助詞「が」が主語を表わすことが分かります。「北方から」「森へも」では、どこからどこへも、Aの場所からBの場所へもという助詞が学べます。「やって来ました」からは、動詞て形+動詞ます形の過去であることが学べます。日本語能力試験(JLPT)に出される問題について書かれています。そして、「ああ、とうとう寒い冬がやってきたのか。ひょっとしたら、森は真っ白に雪化粧をしてるのかもしれない」と思う人もいるかもしれません。これは、作者の表現から想像することができるのでしょう。
人生の初めに読んだ絵本に、大げさに言えば、性格にも生き方にも大きく影響を受けたと思います。大人になって絵本を読み返してみると、子供の時に感じたことと違うことを感じることが度々あります。
今は、コロナウィルスの時代です。1日1食しか食べられない学生や仕事に就けない人々がたくさんいます。みんながとても困っています。暗い時代になってしまいました。それでも、私たちは生きて行かなければいけません。新美南吉が彼の短い一生をかけて追及したテーマは「生存所属を異にするものの魂の流通共鳴」です。このテーマは難しすぎて理解できにくいです。私はこれこそが、多文化共生なのだと今日まで考えてきました。今こそ、私たちは思いやり支えあって生きていかなければなりません。私は「私に何ができるのか」を考えています。考えついたら、すぐに実行しなければなりません。次回は、宮沢賢治の世界を紹介します。
kokoka日本語チューターブログチーム
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