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[日本語チューター]京都五山の送り火

京都五山の送り火は、祇園祭とならんで、京の夏を代表する行事の一つです。
いつ、誰が、何のために始めたのか? 色々な説があり、未だに謎とされています。しかし、仏教などの宗教や日本古来の独自の信仰とが合わさり、「お盆のこの時期に先祖の霊が私たちのところに帰って来られる。そして、お盆が終わる時、再び冥府(あの世)に戻って行かれる。」と考えられるようになり、精霊送りの行事として今日に至っています。毎年8月16日に京都の町を囲む山々に五つの文字や絵が夜空に浮かび上がります。
五つとは、東山如意ケ嶽の「大」の文字、松ヶ崎西山・東山の「妙法」の文字、西賀茂の舟形の絵、大北山の「大」の文字(左側に見えるので左大文字と呼ばれる)、曼荼羅山の鳥居形の絵、の五つです。五つの山に形作られた文字や絵の大きさは、一番小さいもので60m、最も大きいものは200mあります。それらの文字や絵は、火床と呼ばれる階段によって形作られています。その階段の数は文字や絵の大きさによって異なり、53基から多いものでは108基もあります。火床には、火がしっかり燃えるように井桁が組まれています。井桁とは、樹齢40年から50年の赤松の木の薪を組んだもので、そこに伝統的な方法で点火していくのです。それぞれの井桁の高さは約1.3mあり、点火後の炎は数メートルもの高さになり、まさに「京の晩夏を照らす」のです。
8月16日午後8時きっかりに最初に東山の「大」が点火され、その後5分おきに次々と点火されて行きます。京の町が赤々と照らされるこの送り火で、精霊が冥府に戻られるのを見届け、1年後の再会とその間の家族や知人の健康と幸せを心静かに祈る・・・・・・これが京の五山の送り火なのです。
京の町も今は高い建物が多くなり、一カ所で全部を見るのは難しくなりましたが、観光サイトなどを参考にして、一つでも二つでも、宗教行事として、また美しい炎の祭典として、今年も送り火を味わいたいものです。

kokoka日本語チューターブログチーム