【日本語チューター】お松明(たいまつ)
毎年3月15日嵯峨釈迦堂(清涼寺)では周辺や境内に多くの露店が立ち並び、夕方になると多くの参拝者が集まってきます。
境内の西側にある狂言堂では「カン デン デン デン」と鐘や太鼓のお囃子が聞こえてきて、お面をつけた人が無言劇を演じています。これは嵯峨大念仏狂言と呼ばれている国の無形文化財に指定されている民俗芸能です。
講堂前には高さが7メートルもある三本の大きな松明が用意されています。松明は松の木を何本か組み合わせたものを藤のつるで括りつけ、逆三角錐のような形で木を支えにして立てられています。
あたりが暗くなるとお松明の周りは多くの人でいっぱいになります。お坊さんがお経を唱えてその周りを回った後いよいよお松明式が始まります。
下から種火が投げられ、それが7メートル上の直径1.5メートル程のお松明の中に投げ込まれると、瞬く間にお松明に火が燃え移り、小さな炎から激しい炎となって真っ黒な空へ伸びていきます。順に点火され炎の勢いがさらに激しく燃え上がり、周りの人々の顔まで明るく照らし出します。組まれていたお松明が崩れてくると火の粉が舞い上がり、灰になって参拝者や露店のテントの上にも降ってきます。
やがて炎の勢いが衰えてきて下火になったところで水がまかれ火は完全に消し止められてお松明式は終了です。
昔は三本の松明の燃える勢いによってその年の米の豊凶を占っていたと伝えられています。この行事は地元の人々によって今も支えられています。
お松明式が終わると京都の町にはいよいよ本格的な春の訪れが感じられるようになります。
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