【日本語チューター】スピーチ大会「盆踊(ぼんおど)り」
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皆さん、こんにちは。私は王肇基(オウ チョウギ)と申します。中国山東省出身で、日本に来て1年5ヶ月が経ちました。この間に、私は日本の文化と習慣を多く体験しましたが、その中でとても印象的だったのは盆踊りです。今日は初めて参加した盆踊りについて、私が思ったことや感じたことをお話ししたいと思います。
今年の8月、西院駅でポスターを見かけました。「西院春日祭り 盆踊大会」と書かれていました。盆踊りはテレビや映画で何度も見たことがありましたが、参加したことはありませんでした。私は盆踊りの雰囲気を楽しみたいと思い、友だちを誘って行くことにしました。
当日、私たちは駅で待ち合わせて、一緒に行きました。19時頃に会場に到着すると、賑やかで活気にあふれた光景が広がっていました。多くの人々が集まり、若者も年配の方も、男性も女性も、日本人も外国人も、みんなが色とりどりの浴衣や夏の服を着て、扇子やタオルを持っていました。
会場の中央に低いステージがあり、バンドが演奏していました。バンドの人も浴衣姿です。ボーカルが数人と、ギター、キーボードを弾いている人、太鼓をたたいている人がいました。盆踊りの場で洋楽器と和楽器の共演は、ちょっと不思議な感じがしましたが、違和感はありませんでした。バンドの後ろにある大きなスピーカーから楽しい音楽と歌声が流れていました。周りには食べ物や飲み物の屋台がたくさん立ち並び、バーベキューの匂いが漂っていました。
私たちは周りをぶらぶら歩き、雰囲気を楽しみました。人々は音楽と歌声に合わせて踊りながら、ステージの周りをまわっていました。彼らの踊りは複雑ではなく、左右に揺れたり、前後に動いたり、回ったり、拍手や足を叩いたりするだけのものでしたが、皆、とても楽しそうでした。私には、彼らが仲のいい大家族のように見えました。
私は目がくらみました。なぜ彼らはこんなに幸せそうで、なぜ踊るのがこんなに好きなのか。私も踊りたくなってきて、友だちに踊ってみないかと声をかけました。しかし、彼は首を振って断りました。踊りたくないと言いました。彼は単に賑やかさを楽しんで、食べ物を楽しんで、写真を撮りたいだけだと言いました。
彼は帰ってしまいました。
私は一人になりました。盆踊りを見ながら、踊るか踊らないかを考えていました。一人で踊る勇気がありませんでした。恐れや恥ずかしさもありました。「よし、踊ろう!」と思っても、すぐに「やっぱり、やめよう。」と思ってしまいました。「よし、踊ろう!」「やっぱり、やめよう。」を何度か繰り返しましたが、最後には踊ることに決めました。私はこの機会をつかみたいと思ったのです。踊ることは、日本の文化を味わう絶好の機会だと思いました。恐れたり、恥ずかしがったりする必要はないと、自分に言い聞かせました。
私は踊っている人々の中に入りました。周りの人々の動きを真似し、音楽と歌声に合わせて踊ってみました。もちろん私の踊りは下手でしたが、踊り始めると、もはや何も気になりませんでした。緊張や恥ずかしさは無くなり、日常の悩みやストレスさえも忘れました。自分の感じたままに踊っているうちに、心から楽しむようになりました。時々、自分が子供になったように感じたり、また自分が日本人になったように感じたりしました。
私の踊りはだんだん上手になるはずだと思っていました。しかし、残念なことに、そうはなりませんでした。ずっと下手なままでした。簡単そうに見えていた体の動きが、実際にやってみるとうまくいかないことに気がつきました。自分の手や足の動きはなめらかではなく、拍手のタイミングもずれていました。それでも、盆踊りの輪に入って踊っていると、自分も仲のいい大家族の一員になったような気持ちになりました。
私は踊り続けました。
気がついたら、盆踊りが終わる時間になっていました。最初は少しだけ踊るつもりでしたが、2時間も踊っていました。ステージの周りを何周したかわかりません。体は少し疲れていましたが、心は非常に満たされていました。しかし、周りの人々が次々に去って行くのを見ると、急に寂しさと孤独を感じました。私は周りの人々に印象を残すこともなく、そして、誰にもさよならを言うこともなく、会場をあとにしました。
家に帰り、ベッドに横たわって、今日の体験を振り返りました。踊っている人々、バンドの音楽と歌声、踊る前に感じた恐れと恥ずかしさ、そして自分の踊り。気持ちは充実していました。心地よい疲れがありました。今日は盆踊りに参加して、本当に良かったと思いました。
私は、盆踊りの雰囲気や楽しさを体験して、盆踊りに対する理解が深まりました。また、このような文化が続いていることは、本当にすばらしいことだと思いました。機会があれば、また盆踊りに参加したいと思っています。今度は、きっと躊躇することなく参加できるはずです。この夏の盆踊り体験は、最高でした。
皆さん、お聴きいただき、ありがとうございました!
王 肇基(オウ チョウギ) 中国 山東省